物事を深刻に考えすぎてしまうことで、心も体も疲れてしまうことはありませんか?考えすぎる性格は、自分にも周りにもストレスを与えてしまうデメリットが多いです。しかし、考えすぎる人には共通する心理的な原因や特徴があります。この記事では、考えすぎる人の心理学的な背景と、それを改善するための具体的な方法を紹介します。日頃、考えすぎてしまう人は、この記事を参考にして、心理学的な解決法を試してみましょう。
1. 考えすぎて疲れる原因とは
考えすぎる人は、自分の欠点や失敗したことなどを繰り返し考えてしまい、物事を深刻に捉えてしまいます。これは、心理学の世界では「反復思考」と呼ばれる現象です。反復思考は、以下のような原因で起こります。
1.1 反復思考という心理現象
反復思考とは、自分の感情や問題について何度も何度も考えることです。反復思考は、不安や悲しみなどのネガティブな感情を引き起こします。反復思考は、自分の問題を解決しようとする試みですが、実際には問題を悪化させることが多いです。反復思考は、以下のような特徴があります。
- 自分の感情や問題に対して否定的な見方をする
- 自分の感情や問題に対して同じような視点でしか考えられない
- 自分の感情や問題に対して具体的な解決策を見つけられない
- 自分の感情や問題に対して行動することができない
1.2 コントロールできないことへの恐怖
反復思考は、コントロールできないことへの恐怖から生じることがあります。コントロールできないこととは、例えば以下のようなものです。
- 他人の感情や行動
- 未来の出来事や結果
- 過去の出来事や結果
- 自然災害や事故
コントロールできないことに対して不安や恐怖を感じると、それらをコントロールしようとして考えすぎてしまいます。しかし、コントロールできないことはどんなに考えても変わらないので、結局自分を苦しめるだけです。
1.3 情報過多による脳の負担
反復思考は、情報過多による脳の負担から生じることがあります。情報過多とは、自分が処理できる以上の量や質の情報にさらされることです。情報過多になると、以下のような影響があります。
- 判断力や集中力が低下する
- 必要な情報と不要な情報を区別できなくなる
- 記憶力や理解力が低下する
- ストレスや不安が増加する
情報過多によって脳が疲れると、物事を冷静に判断できなくなります。その結果、自分の問題に対して過剰反応したり、無駄な心配をしたりするようになります。
2. 考えすぎて疲れる症状とは
考えすぎて疲れることで、心身に様々な症状が現れます。以下は、代表的な症状です。
2.1 不安やストレスが増加する
考えすぎることで不安やストレスが増加します。不安やストレスが高まると、以下のような影響があります。
- 気分が落ち込む
- イライラする
- 焦りや不安定さを感じる
- 自信が失われる
- 孤独感や無力感を感じる
不安やストレスが長期間続くと、心身に深刻なダメージを与えます。例えば、
- 抑うつ症状
- 不安障害
- 睡眠障害
- 免疫力低下
- 高血圧
- 心臓病
などです。
2.2 睡眠障害や集中力低下が起こる
考えすぎることで睡眠障害や集中力低下が起こります。睡眠障害や集中力低下が起こると、以下のような影響があります。
- 睡眠不足や睡眠不良によって体調不良や倦怠感が生じる
- 集中力や判断力が低下して仕事や勉強に支障が出る
- ミスや事故のリスクが高まる
- 創造性や記憶力が低下する
睡眠障害や集中力低下は、日常生活に大きく影響します。またそれは仕事や日常生活に悪影響を与えてしまうでしょう。
2.3 自己肯定感が低下する
考えすぎることで自己肯定感が低下します。自己肯定感とは、自分の価値や能力を認めることです。自己肯定感が低いと、以下のような影響があります。
- 自分に自信が持てない
- 人からの評価や承認を必要とする
- 他人と比較して劣等感を感じる
- 自分の意見や感情を表現できない
- 自分の欲求やニーズを満たせない
自己肯定感が低いと、自分の存在意義や幸せを見失ってしまいます。また、自分に対する否定的な考えが強くなり、自分を責めたり傷つけたりすることもあります。
3. 考えすぎて疲れる対処法とは
考えすぎて疲れることで、心身に様々な症状が現れますが、それを改善するための対処法もあります。以下は、代表的な対処法です。
3.1 心配事を書き出して整理する
考えすぎる人は、頭の中に浮かんだ心配事や悩みを書き出して整理することで、思考のパターンやクセを知ることができます。書き出すことで、以下のようなメリットがあります。
- 心配事や悩みが視覚化されることで、客観的に見ることができる
- 心配事や悩みに優先順位をつけることで、重要なこととそうでないことを区別できる
- 心配事や悩みに対して具体的な解決策や行動計画を立てることで、前向きになれる
- 頭の中がスッキリすることで、集中力や判断力が高まる
心配事や悩みを書き出す際は、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 書く時間や場所は決めておく
- 書く内容は具体的かつ事実に基づくものにする
- 書く量は多すぎず少なすぎずにする
- 書いた後は必ず読み返して整理する
3.2 考える時間を限定して長引かせない
考えすぎる人は、考え始めたら止まらなくなってしまうことがあります。そのため、考える時間に期限を決めて、強制的に考える時間を減らすことが有効です。考える時間を限定することで、以下のようなメリットがあります。
- 考える時間が限られていることで、効率的に考えることができる
- 考えすぎてネガティブな感情に陥ることを防ぐことができる
- 考え終わった後は別の行動に移ることで、気分転換やリフレッシュができる
考える時間を限定する際は、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 考える時間は10分から30分程度にする
- 考える時間は一日に一回か二回までにする
- 考える時間は朝か昼間にする(夜は眠りに影響するため避ける)
- 考え終わったら必ずタイマーを鳴らして終了する
3.3 考えすぎる前にまずは行動してみる
考えすぎる人は自分に自信がなかったり、まだ起きていないことに不安に感じて行動に移せないことがあります。しかし、行動しなければ何も変わらないどころか、考えすぎて問題を大きくしてしまう可能性もあります。そのため、考えすぎる前にまずは行動してみることが大切です。行動することで、以下のようなメリットがあります。
- 行動することで実際の状況や結果を知ることができる
- 行動することで自分の能力や価値を実感することができる
- 行動することで自信や達成感を得ることができる
- 行動することで新しい発見や学びが得られる
行動する際は、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 行動は小さくても良いので始めやすいものから始める
- 行動は具体的かつ明確な目標や期限を設定する
- 行動は一人ではなく誰かと一緒に行う(サポートやモチベーションのため)
- 行動した後は必ず振り返って反省や評価を行う
3.4 人に相談する
考えすぎて疲れてしまった時は、一人で抱え込まずに人に相談してみましょう。人に相談することで、以下のようなメリットがあります。
- 相談相手から客観的かつ冷静な意見やアドバイスをもらうことができる
- 相談相手から共感や励ましをもらうことで安心感や支持感を得られる
- 相談相手から新しい視点や情報を得られる
- 相談相手から協力や協働を得られる
人に相談する際は、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 相談相手は信頼できて尊敬できる人にする(家族や友人だけではなく専門家も含む)
- 相談内容は明確かつ具体的に伝える(何が問題か?何が目標か?何が困っているか?)
- 相談相手の意見やアドバイスは素直に聞く(批判的ではなく受容的に)
- 相談相手の意見やアドバイスは必要に応じて実行する
3.5 マインドフルネスを実践する
考えすぎる人は、過去や未来のことに思いを巡らせて、現在の瞬間を生きていないことが多いです。そのため、心を”今”に集中させることで、考えすぎを防ぐことができます。心を”今”に集中させる方法として、 マインドフルネス が有効です。マインドフルネスとは、仏教の瞑想法をもとにした心のトレーニングで、世界中で注目されています。マインドフルネスを実践することで、以下のようなメリットがあります。
- 脳の活動を改善し、不安やストレスを軽減することができる
- 集中力や判断力を高めることができる
- 自己肯定感や自信を強化することができる
- 感情のコントロールや自己理解を深めることができる
マインドフルネスを実践する際は、以下のようなポイントに注意しましょう。
- マインドフルネスは瞑想だけではなく、日常生活の中でも行える(食事や歩行など)
- マインドフルネスは簡単に始められるが、効果は継続して行うことで現れる
- マインドフルネスは一人で行ってもよいが、グループやアプリなどのサポートも利用できる
- マインドフルネスは精神疾患のある人は主治医や専門家と相談して行う
4. まとめ
考えすぎて疲れることは、誰にでも起こり得る現代社会の問題です。考えすぎることで心身に様々な影響が出てしまいますが、それを改善するための対処法もあります。この記事では、以下の対処法を紹介しました。
- 心配事を書き出して整理する
- 考える時間を限定して長引かせない
- 考えすぎる前にまずは行動してみる
- 人に相談する
- マインドフルネスを実践する
これらの対処法は、自分に合ったものを選んで試してみましょう。考えすぎて疲れた時は、自分を責めずに優しく接してあげてください。自分の心に耳を傾けて、自分らしく生きていけるようにサポートしてあげましょう。
参考文献・出典
: 『考えすぎる人のための心理学』(著:松本俊彦、PHP研究所、2018年) : 『考えすぎる人のための行動療法』(著:松本俊彦、PHP研究所、2019年) : 『マインドフルネス入門』(著:サラ・ラザー、早川書房、2017年)
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